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ペット徒然

ペットについてのあれこれを、気の赴くままに綴ってみようと思います。

兎も可愛い。

 兎は文句なく、ふくふくとして愛らしいと思う。
 私がまだ子どもだった当時、たいがい何処の家でも兎や鶏を飼っていた。だから、兎の大好きなタンポポやマオといった青草を誘い合わせて摘みに行くのは、これもまた私たちにとって、遊びの一つになっていた。
 彼等は、自分たちの体より大きな嵩の青草をあっという間に平らげてしまう。もぐもぐもぐもぐと、際限なく動くくちもとの何とも可愛らしいこと!
 シロツメクサ、つまりクローバーの野原へ弟や友達と一緒に、兎を連れて行ってやることもあった。兎たちがのんびり跳ねまわり、お腹いっぱい草を食べている間、私たちは私たちで野原に転がり、時折は兎をかまって遊んでいる。
 オオバコの茎を絡ませて引っ張り合い、ちぎれたほうが負けという草相撲(?)を取ったりもしたし、酸っぱいスイスイ(スイバ)の茎をかじったりもした。
 スイスイには二種類あって、より大きくてボリュームたっぷりに見える緑のスイスイは「牛のスイスイ」といって、牛は食べるが人間は食べなかった。人間用の、花穂と茎が淡く紅色がかった細いスイスイを齧った。
 ツンバラ(チガヤ)は仄かに甘い。真っ白い穂が出る前の、蕾の下の柔らかい部分をちゅちゅっと吸った。
 畑一面鮮やかなピンク色に染まる、レンゲ畑にころころと転がることもあった。見上げれば、自分の頭の形にぽっかり穴が開いて、青空が覗いている。周りを縁取るピンクのレンゲ草。一緒に揺れる、可愛い緑のスズメノテッポウ(イネ科の雑草)。抜いて、ぴい、と青空に向けて鳴らしたりもした。
 レンゲの花は私たちから見ればうんと高い位置にあるのに、
『こらあ! 又やっとるな!』
 レンゲ畑の持ち主である、モウとこのオッチャン……いや、村で唯一、乳牛を多頭飼育していた牧場経営の小父さんがレンゲ草に「隠れている」私たちをすぐに見つけて、怒鳴ってきたものだ。
 土を肥やし、牛の餌にするためのレンゲ草を子供たちに押しつぶされては、それは堪らなかっただろう。しかし、私たちとしては、しっかり「隠れている」はずなのになぜすぐ見つかるのかと、酷く不思議だった。見上げれば、レンゲの花はうんと高い位置で咲いているのに!
 ともあれ、そうして野原で遊んで、夕方になると兎たちを「ふご」(藁で編んだ、手提げ付きの入れ物)に入れ、家に帰った。
 神社の大杉から
『ホウホウ、ノリツケホウソウ』
 とフクロウが鳴くときは、
『明日も晴れやな、また遊ぼな!』
 笑って友達と別れた。
 この兎たちも実家ではやがてお肉になる運命だったが、そういえば弟は、兎が捌かれるところは見たがらなかった。鶏は平気なようだったし、兎もお肉になってしまえば美味しく食べていたのだから、勝手といえば勝手な話だ。
 まあ、こういう風に兎は飼ったことがあったから、実は娘が幼稚園のころ、動物を飼ってとあまりに強請るので、
『兎ならいいよ』
 と、許したことがある。
 当時の娘はどんな動物より「ウサギちゃん」が好きだったので、それはそれは喜んだ。
 小さい頃に娘が描いた絵の動物たちは、みんな長い耳を持っていたものだ。幼いながら、「聞き耳ウサギ」とかいうお伽噺を作っていたこともある。私は娘の語るそのお話を、娘の描いた絵にちゃんと書きとめて、今もとっておいてやっている。
「お父さんウサギ」というのもあった。兎一家の物語なのだが、面白いのは、兎お父さんが毎朝、「会社」ではなく「学校」に向かうことだ。夫が教員なので、まだ幼稚園児だった娘にとって「学校」というのは「お父さん」の働きに行く場所のことだったのだろう。
 笑いながら娘にその話をすると、
『そんなん、もう捨てて!』
 真っ赤になって怒ったので、それらを私が今でもちゃーんと保管していることは、娘には秘密である。 
 それにしても、あの兎たち! あれがあのまま我が家にいてくれれば、今回のようなことにはならずに済んだだろうに。犬……。
 しかし、家の建て替えの際、仮住まいに連れて行けなくて、泣いて嫌がる娘を説得し、兎は私の実家とその近くの家にもらってもらった。
 その後飼ったハムスターは、子供らの拙い世話の手を掻い潜って脱走、それっきり行方不明。庭の倉庫に野良猫が棲みつき、子猫を生んだこともあったが、結局それも、子猫の目が開いた後すぐにいなくなってしまった。
 私はかつて猫も嫌いだったのだが、子供らが生まれる以前、とあるきっかけから、野良猫たちと触れ合うことになったことがある。その結果、いつの間にやら猫嫌いは治っていた。だから、せめてあの倉庫の猫たちが、あのまま家に居ついてくれていたら……。
 まあ、仕方がない。これも成り行きというものだろう。出来るだけ犬には近づかず、お互い気持ちの良い同居相手になれればいい。
 子供たちの
「世話は全部やるから」
 という約束は正直言って怪しいものだと思うが、後押ししたのは夫だ。夫はそれこそ見境なく、動物全般が大好きらしい。それならそれでいい。責任は取ってもらわなくては。
 三人がいない間の、水やりと餌やり。それ以上、私は犬と関わるまい。散歩? とんでもない話だ! 犬との直接の接触は、出来る限り避けたいものだ。

 

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