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ペット徒然

ペットについてのあれこれを、気の赴くままに綴ってみようと思います。

夫の動物愛(一部、疑問)

 私の夫は見境なく動物が好きだと書いたが、いささか正確性に欠ける表現だったかと思う。
 夫は蛇が嫌いだ。うねうねと道を這うのを見るだけで怖気をふるうほどらしく、以前、私が夫の財布に入れてあげた蛇の抜け殻もいつの間にか捨ててしまっていた。蛇の抜け殻は財布に入れておくとお金がたくさん入ってくる、というジンクスがあるのだが。
 爬虫類全般が駄目な訳ではなく、亀などはかつて息子が十匹以上飼っていたのだが、普通に一緒に世話していた。亀もなかなか可愛いもので、餌をくれる相手の足音でも聞き分けるのか、私が寄っていくと首を長く伸ばして私を見上げてきたりした。
 亀は寒くなると冬眠するので、庭に砂地を作り近くの農家から頂いた藁を上に敷いて、寝床を用意してやった。すると春、その亀のうちの一匹(?)が卵を生んだようで、もともといた亀たち以外に、大量に小亀が這い出してきた。可愛いちいちゃな亀が何匹もよちよちと庭を這い回るので、それを捕まえては母亀父亀たちのいるだろう水槽に入れてやった。その結果、大亀小亀、息子や娘の使用していたベビーバスに溢れるほど亀が増えてしまって、一時期はどうしようかと悩んだものだが……。
 それはさておき、私の夫は基本的には可愛い哺乳類や鳥類が好きだ。
 鳥に関しては、スズメを見たとき、
『カスミって言ってな。背後から脅かして、見えにくい網に追い込んで捕まえるんや。面白いで』
 やら、
『羽根さえ適当に毟っておけば、腸とか取らんで丸焼きにしてもけっこういける』
 やら、物騒な科白を楽しげに並べるので、ペットとしての好きというのとは少し違うかもしれないが。……これに関しては、私も公園で長閑に歩く鳩を見たとき、
『丸々として美味しそうやね』
 とやらかして――半分冗談だったのだが――幼い娘に泣かれたことがあるので、あまり他人のことは言えない。
 幼い頃、雪の降り積もる冬、実家の父がクグツ(罠)で獲ってきてくれる野鳥のなかで、文句なく一番美味しかったのはヌエ(正式名称は不明)と呼ぶ鳥だった。しかし、鳩も悪くなかった。
 それはさておき。私の夫は私と違って町育ちで、兎や鶏などとはあまり縁がなかったらしいが、犬や猫などは勝手に飼っていたらしい。勝手にというのは親の許可を得たり、ペットとしての登録をしたりせずに、ということ。夫が子供だった当時、ペットの申請制度など、果たしてあったのだろうかと疑問にも思うが……。
 ともあれ、父親を早くに戦病死で亡くし、母親だけに育てられていた夫は、その母親が働きに出て留守の間、野良の猫や犬たちを可愛がっていたらしい。餌は、残りごはんにお味噌汁をかけただけのもの。……早死にが多かったというのは、塩分過多だったのではないだろうか?
 ともあれ。そんな夫にとって特に思い出深いのが、アカという茶色い犬なのだそうだ。夫は野球が大好きで、近所の友達と毎日空き地で野球をしていたのだそうだが、その犬もいつもそのお供をして空き地まで通ってきて、野球が終わるまで遠くへ行くこともなく、夫を待っていた。そして夕方、一緒に帰る。そして、縁の下で眠る。夫に実に良く懐いて、夫には自分の出産する姿を見せたりまでしていたようだ。普通、飼い犬でもそれだけは見られるのを嫌がることが多いらしいのだが。
 しかし、ある日のこと、帰宅する夫の後をついてきていたその犬を、犬獲りが捕まえてしまったのだ。
 その日、犬獲りの姿を見た夫は、自分に従っていたアカに向かって石を投げつけた。びっくりしたアカは、慌てて手近なよその家へと逃げ込んでいく。
 夫としては、犬獲りからアカを逃がしてやったつもりだった。ところが、犬獲りはその家にまで踏みこんで行って、結局夫の目の前でアカを捕まえてしまった。
 助けてやりたくて、しかし、子供の夫にはもうどうしようもなくて。
 繋がれ、しょんぼりと連れられていくアカの姿は、石を投げつけられた時の驚いたような鳴き声と共に、未だに夫の記憶のなかに鮮明なのだという。
 そんな経験があったら、私なら二度と犬など飼いたくないと思うかもしれない。しかし、夫は逆のようだ。夫と息子と娘、三人の中で「犬」に一番執着しているのは、もしかしたら夫かもしれない。子どもたちを、もしかして焚き付けていたりして……? いや、もうそれならそれでいいから、犬の世話だけは責任をもって、ちゃんとやって欲しい!

 

 

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